2017・ブナの森楽園共催事業 ブナ森ミーティング・根開き&雪もみじの森歩き「低木たちの葛藤に触れる |
ブナの森楽園主宰 天候:快晴 参加者:4名+スタッフ・横山完 |
2017 年5月23日(火曜) |
小満の森は、前回の穀雨の森と様相が一変し、豪雪環境に適応したブナの森の新緑と雪もみじと根開きが広がる楽園の世界でした。 ブナの芽吹きはこの二日間で森林限界(標高1300m前後)まで到達し、所々にピンクのツツジと純白のタムシバの花がアクセントになり、そして月山湧水群として至る所に点在する湿地帯に花が咲き誇る、そんな小満の森歩きを満喫することができました。 そんな森歩きの中で、今回は、高木が輝き、湿地の花が華やかな傍らで、低木や亜高木、更に幼木たちはいかに過ごしているのか。豪雪環境に生きる彼らに楽園はあるのだろうか? をテーマに展開したブナ森ミーティングの一部を要約して報告します。 小満の季節といえども園内の森は、ブナの若木も含め低木たちの大半は雪の中に埋もれ、安否さえも確認できず、玄海広場に植栽した唯一のミネザクラも姿を見せない程の残雪です。 青年期に達したブナでさえ、つい最近立ち上がったばかりのために未だ展葉せず、カエデの仲間も、高木大木になるベニイタヤは遠くからも目立ちつつも、その他のカエデの多くはようやく上半身が雪の中から出たばかりでこれまた未だ冬芽の状態でした。 しかしながら、芭蕉が330年も昔の、7月中旬に月山のミネザクラのつぼみを見て「…ふり積もる雪の下に埋れて春を忘れぬ遅桜の花の心わりなし…」と感動したように、私たちも低木や亜高木の凛とした存在に誇らしさを感じたのでした。 センチメンタルな気持ちが湧き上がって助け起こそうとすると、雪が樹木を締めつける強さに驚き、他方で、ちょっとした刺激で雪から開放されて勢いよく跳ね返る迫力に驚く瞬間があり、豪雪に生きる低木に対し、「雪に倒されてこの辺の低木は可愛そう」「苛酷な環境に耐えながらよくぞがんばっている」と思っていたことが浅はかで、余計なおせっかいだということを痛感させられました。 低木たちは私たちの及ばぬところで、長い長い時間をかけて絶妙な雪とのおりあいを見出し創りだしているのだと思います。そのおりあいは、おそらく雪と闘うという発想ではなく、豪雪をうまく利用し、雪とうまく連携する営みのように思います。 その場合に低木側に問われることは、「展葉するのは雪がほぼ解ける6月まで待つこと」そして「幹が折れやすくなるので大きくならないこと」「冬の間、半年間も地べたに付いて生きる柔軟性をもつこと」など。 それらをクリアできるなら、雪に覆われることでマイナスにさらされること無く、ウサギなどに冬芽を食べられることも無く、5月の乾燥期をしのぐこと無く、のんびりと過ごせる楽園の世界なのです。 今回も意外な楽園を見つけることができました。 さあ、次回も梅雨の森歩きの中で新たな楽園を探しましょう。 |
イベントの様子 (画像クリックで拡大) |
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