自然観察入門講座 第4回・冬虫夏草を探そう
解説・川上新一氏  参加者:11名
2016年8月21(日曜)開催
 「冬虫夏草を探そう」の観察会をしました。冬虫夏草といっても、野生に出ているものを知っている人と、漢方薬や漢方食として知っている人に分かれると思いますが、今回はもちろん前者で、自然博物園のフィールドで野生の冬虫夏草を探す観察です。講師は、当園インタープリターであり、粘菌博士の川上さんです。冬虫夏草は、宿主が決まっていてその繁殖に左右されるため、年によって大きく増減があるようです。また、虫から出てくるキノコで、形や大きさ、色合い、棲息する場所などを知らなければ見つけることは相当難しい代物です。さらには、近年博物園のブナの森にはブナアオシャチホコガが少なくサナギタケを見ることは稀であり、参加者の成果が気になりましたが、川上さんのレクチャーで、冬虫夏草は"ツボ"と呼ばれる場所に多く棲息することをヒントに出発しました。園内のツボ思われる場所を何か所か回り、マユダマヤドリバエタケのツボに大当たりすることができました。この冬虫夏草は小さなハエの幼虫に寄生して、子実体の大きさは3mmにも満たないほどで、ブナの葉っぱに重なり普通には見つけづらい冬虫夏草ですが、当たれば宿主の数が多いので、連続して見つけられることができました。寄生して宿主の繁殖を制限してしまう冬虫夏草は、私たちの見えない所で生態系を左右している存在だと気付かされました。今回も生物の深い営みに触れることができました。(スタッフ:まなべ)
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