=森林と文化講座= 第2回・・朝日連峰での山暮らし |
講師 朝日鉱泉ナチュラリストの家 代表 西澤 信雄氏 |
2010年9月5日(日曜) |
第二回目の森林と文化講座は、朝日鉱泉ナチュラリストの家の経営者である西澤信雄さんを迎えて開催しました。人里離れた山の中の生活はどんなものなのか?以前の暮らしと今の暮らしに違いがあるのか?など、朝日の自然と共に暮らしているからこそ見える移ろいを話して頂きました。 西澤さんが朝日鉱泉を引き継いだのは1975年。今でこそ登山ブームに乗って多くの登山者が訪れるようになりましたが、かつては本職の山菜採りの人達が長逗留してゼンマイやキノコを採り、現地で加工の作業をしていたそうです。職人達の多くは、山を一つ隔てた白鷹町からで、何日も朝日の山懐で山菜採りをしていたそうです。中でもゼンマイ採りの作業は過酷だったようで、山奥に入り急な斜面を上り下りしながら採り、30キロ以上ものゼンマイを背負い山を下りる。帰ってきてからは、すべてのゼンマイをお湯で茹で上げ、その後は、天日干しをしながら何度も揉みほぐす。製品に仕上げる為には家族総出の作業だったようです。でも今は、その一連の作業が出来る家も少なくなり、朝日鉱泉にやってくる本職のゼンマイ採りはいなくなったと言うことです。 朝日鉱泉は、登山者の登山基地として、渓流釣りを楽しむ釣り人の宿として、自然愛好家の宿としてなど様々な顔を持っています。朝日連峰の原生的なブナの森は多くの恵みを与えてくれますが、人々と自然との本来の結びつきは薄れてきているようです。西澤さんも「1980年から1985年頃から山の職人が減ってきた。山に近いところに住んでいれば山に入る理由があった。しかし、山を下りる人が多くなり、山に入る理由が無くなった。」と話していましたが、日々の暮らしの中で本来の自然は遠い存在になりつつあるようです。山や森で活かされた技術や経験が後世に受け継がれない状況は非常に残念で す。今を生きる人達がすべて昔の生活に戻ることはできませんが、かつてのように自然に大きな影響を与えず、自然と人間がバランス良く生きられる方法を実践していくことは、とても大事なことだと感じました。(スタッフ:白田) |
講演の様子 (画像クリックで拡大) |
![]() |
![]() |
|
![]() |
![]() |
|
![]() |